この行事は、毎年6月第一日曜日、市街地に程近い田を会場に、代掻き、苗取り、田植えなどを行って、その年の稲作の無事と豊作を祈願するものである。
代掻きは、美しい鞍や艶やかな玉飾りなどをつけた飾り牛により行われる。マンガを取りつけた飾り牛は田に入ると縦一列になって代掻きする。
次に、艶やかな服を着て菅笠を被った早乙女が苗取りを行い、その間、田ではエブリツキと呼ぶ役が田をエブリで均す。田の神は、このエブリに依りつくという。
田の神を迎えると田植えとなる。音頭をとるサンバイと向き合って早乙女が横一列に並び、田植え綱の目印にしたがって後退しながら苗を植えていく。サンバイが両手にもったササラと呼ぶ割竹を擦り、親歌という田植え歌をうたうと、続けて早乙女は子歌という田植え歌をうたう。早乙女の後方では横一列に並んだ男性が囃子を賑やかに奏する。
最後に、田の取水口にエブリを立てて三把の苗をのせる。田の神はこのエブリにとどまる、あるいはエブリを伝って帰るといわれる
特定の田を儀礼の場とし、田の神を迎えて盛大に田植えを行うこの行事は、稲作に従事してきた日本人の基盤的な生活の特色を典型的に示す農耕儀礼である。