江戸城外堀跡 えどじょうそとぼりあと

史跡

  • 東京都
  • 千代田区・新宿区・港区
  • 指定年月日:19560326
    管理団体名:
  • 史跡名勝天然記念物

 寛永13年、幕府が諸大名に命じて営ましめたものであって、牛込口、市ヶ谷、外麹町口(四谷見付)、赤坂、喰違外六ヶ所に升形を設り、これにより江戸城の惣構は大成、江戸城の完成を見たのである。明治維新後は市街地の発展、交通機関の発達に伴い、幾多の改変を経て今日に至っているのであって、今回指定する区域は牛込見付から、赤坂見付に至る間の堀、土手及び升形跡と虎の門から溜門に至る間の一部残存せる石垣である。
 既ち外濠としては自然の堀であって溜池が■に埋立てられていて一貫性を欠くうらみがあり、升形も殆ど破壞され、鉄道用地等として堀の景観を著るしく損っている。地域もあるけれども総体として見るならば外濠としての景観は見るべきものがあり、惣構の旧態を偲ぶことができる。殊に江戸城防備のため特に人工を以て堀鑿した部分が概ねその形態をとどめていることは貴重であって、中でも牛込見付より市ヶ谷に至る間と赤坂見付附近は今尚満々と水を湛えて旧観を今に伝え、破壞の跡は著るしいとは言え升形中、牛込口、外麹町口、赤坂には升形の一部石塁残存し、就中喰違は幸いによくその形態を止めている。また虎の門南の外濠沿いの石垣も貴重であるが、西に屈曲して溜池に連なるところ、その隅石の現存するのは殊に貴重である。
 江戸城が将軍の居城としてはたまた政治の中心として我が国における最大の規模の城郭であることは云うまでもないところであって情趣豊な風致として愛好されているところも少なくなく、これを指定することは極めて意義あることである。從って諸般の特殊事情もあるが、許す限りこれを指定しようとするものであって、外堀はその第1次である。

江戸城外堀跡

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