明治13年(1880)、明治天皇より特命全権公使ローマ在勤を仰せ付けられた鍋島直大(旧佐賀藩主)がローマにむけて出国したのち、婚約者の廣橋栄子(ながこ)は遅れて翌年4月にローマに到着した。本資料には直大の出国後、栄子が国内残留の期間中に会得しておくべき項目が列記されている。
(一)毎日一時間ずつのフランス語学習
北島以登子(糸子)でも分からない事柄は田中永昌が仏学教師に質問すること
(二)算術
(三)横文字の習字
(四)西洋服の着付け(十月頃より開始)
いずれも公使の伴侶としてローマ社交界に身を投じる上で必要な事柄である。