「侯爵 鍋島直大」と印字された名刺の表面・裏面の空白部分に直大の筆により30以上の所属団体・学会などが書き込まれている。華族による雅楽グループ絲竹会(しちくかい)に属し、明治39年(1906)発足の日本歌道奨励会の会長など、音楽や詩歌の分野では公務や御一家での嗜みにとどまらず社会活動にも精力的だった。歌道奨励会は「初度大会を永田丁邸にて催せり」(直大自筆の回顧録「復暦本書」)として永田町鍋島邸で初回大会が開かれており、自ら編集した和歌集「松風集」には「歌道奨励会発会式に」の詠題で「神代より世につたはれることのはの 道もいよいよ広くなるらむ」の詠歌が収録されている。