婦人像
Portrait of a woman
1932年頃
北海道立三岸好太郎美術館蔵[O-43]
「好太郎は女の顔にホトホト惑溺する。尋常の愛情ではこんな美しい顔は描けるものではない。女の魅惑への陶酔あって、はじめてこの繊細な美は生命を与えられるのだ。」と節子夫人は記している。三岸好太郎の描く女性像の多くは、彼独特の感性と美意識を通してその美が抽出されたもので、必ずしも実際の容貌を正確に写しているわけではない。1931年から32年頃にかけての一連の小品では、慈愛に満ちた母性や、魔性を秘めた妖艶さなど三岸をとらえた女性の魅力が、流麗な筆遣いとあでやかな色彩で見事に描き出されている。