姑娘
Chinese girl
1926年
北海道立三岸好太郎美術館蔵[D-79]
ヨーロッパの美術に触れる遊学の機会を得ることを望んでいた三岸好太郎だが、結局その夢を果たすことはできなかった。だが、1926(大正15)年の秋に、同じ札幌出身の画友岡田七蔵とともに中国旅行に出かけており、それが生涯ただ一度の外遊となった。上海や杭州、蘇州などを回った旅で、中国の風物に取材した作品を制作している。
本作も旅で見かけた女性を描いたのであろう。こちらをふりかえった優しげな少女。墨による線描に加えて、長上衣と頬は赤茶色のクレヨンで着彩されている。そのやや厚めに塗ったクレヨンを、細く掻き落としていく技巧も施されている。こうした中国女性の姿は、三岸の画興を高めたようで、油彩、素描、版画でそのイメージを制作している。やはり三岸にとって女性像は飽くことないモチーフであったようだ。