猿投灰釉多口瓶 さなげかいゆうたこうへい

工芸品 / 平安

  • 愛知県
  • 平安
  • やや鉄分を含んだ耐火度の高い胎土を用いた瓶。成形は轆轤挽で、肩の四方につけた四つの注口の頸部には、篦を用いて面を取る。器形は長頸瓶を基本にして、丸く撫でた肩の四方に四個の注口を付けたもので、従来多嘴瓶とも呼ばれている。基本部の胴は豊かに丸みを持ち、底部には外に開いた低い高台が付く。口頸部は五口とも口縁を捻り返しているが、肩の四つの注口は頸部に篦を用いて面取りしている。五つの注口の一部、肩から胴の一部に灰釉がかかるが、自然釉か人工釉かは判然としない。口頸部に黒斑が生じ、底部に焼成時に破損したらしい大きな穴がある。
  • 総高21.5 口径6.5 胴径16.5 高台径6.2 (㎝)
  • 1口
  • 愛知県陶磁美術館 愛知県瀬戸市南山口町234
  • 重文指定年月日:19750612
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 愛知県
  • 国宝・重要文化財(美術品)

長頸瓶を基本に、まるく撫肩の四方に四個の注口をつけた珍しい器形である。ろくろと箆によって造形した技術は、九世紀前半の初期灰釉陶の水準の高さを物語っている。本品は猿投山山麓古窯趾群の一つ、愛知県西加茂郡三好町大字筋生黒笹三六号窯から出土したものである。

猿投灰釉多口瓶 さなげかいゆうたこうへい

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