大久保利通関係資料 おおくぼとしみちかんけいしりょう

歴史資料/書跡・典籍/古文書 / 江戸 明治

  • 千葉県
  • 江戸~明治
  • 3053点
  • 国立歴史民俗博物館 千葉県佐倉市城内町117
  • 重文指定年月日:20040608
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 大学共同利用機関法人人間文化研究機構
  • 国宝・重要文化財(美術品)

幕末から維新期の政治史において中心的役割を果たし、新政府の指導者として明治国家を建設した大久保利通(一八三〇~七八)の政治思想および政治活動を知り得る一括資料である。
 大久保は、文久元年(一八六一)薩摩藩小納戸役に抜擢され政務に参与することになり政治の表舞台に登場する。そして以降、討幕・王政復古の推進、朝廷改革・廃藩置県等新政権の基盤強化、岩倉具視特命全権大使のもとで副使を務めた二年間の米欧巡回、征韓反対の方針強行、台湾出兵の実施、佐賀の乱から西南戦争に至るる士族暴動の鎮圧等を通じ新政府の土台を固めていった。この間大久保は、明治元年(一八六八)閏四月参与に任じられて薩州派の首領として政務の枢要に参画し、四年六月には大蔵卿、六年十月参議、同十一月内務卿を兼任するに至り財政、殖産興業、内政にわたる広汎な権限を掌握した。
 大久保利通関係資料は、以上の経歴および思想形成を示すものを中心とし、書状類、文書・記録類、書跡類さらに遺品類に大別される。
 書状類には大久保の政治的地位を反映して、重要な往来書簡が多数収められている。発信者を列挙すると、三条実美【さねとみ】、岩倉具視【ともみ】、木戸孝允【たかよし】、伊藤博文、山県有朋【やまがたありとも】、大隈重信、江藤新平、勝海舟ら宮中、他藩、幕府の主要な人物があり、薩摩藩関係では西郷隆盛、寺島宗則、松方正義、税所篤【さいしょあつし】ら新政府の重職、また精忠組以来の同志岩下方平【まさひら】、伊地知貞馨【いじちさだか】、有馬新七ら、さらに小松帯刀【たてわき】、新納嘉藤次【にいろかとうじ】、内田政風【まさかぜ】ら藩重臣がおり、幕末・維新期の政治史の動向を伝えて興味深い。中には明治十一年五月十四日、赤坂紀尾井町で石川県士族島田一郎らに暗殺された際に所持し血痕が付着した東京府知事楠本正隆【くすもとまさたか】から寄せられた書簡もある。
 文書・記録類は日記、意見書、建議案が相当数含まれる。日記は安政六年(一八五九)十二月から明治十年三月まで断続的に六冊が伝来する。淡々と日々の天候、出来事を記しており、大久保の沈着な性格をうかがうことができる。また意見書、建議案は、生麦事件の事後処理案、江戸開城後の徳川宗家の扱いについて三条、岩倉に宛てた意見書、安積疎水開削をはじめとする殖産興業建白書等の大久保の主要な政策を知ることのできるものが含まれる。
 書跡類、遺品類は数は多くないが、大久保の書幅、書額や、筆、硯、煙管、碁石、燭台、石鹸入、歯ブラシ等の日用品のほか、「甲東」「内務卿大久保利通印」の印章等が含まれ、大久保存命中の往時を偲ぶものである。
 本資料は、すでに重要文化財に指定した坂本龍馬関係資料(京都国立博物館保管、平成十一年六月七日指定)、岩倉具視関係資料(財団法人岩倉公旧蹟保存会、平成十二年六月二十七日指定)とともに幕末から維新期の政治史の基本資料として貴重である。また国立歴史民俗博物館保管分は大久保利通に関する資料のうち鹿児島県所有分とともに主要な資料群を構成しており、大久保家に伝来した経緯等を勘案してともに重要文化財に指定する。

大久保利通関係資料

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