手機製作は、手織り【ており】用の木製の機【はた】(織機【しょっき】)を製作する技術である。手機の製作は、木材を主要な原材料とし、使用目的等に応じて設計した後、長期間乾燥させた各種の木材を用い、適材を適所に配して部材を製材・整形し、本体を組み立てて仕上げる。手機の製作には、木材に関する深い知識とその加工技術とともに、機の構造や機能および織物の製作技術に対する知識と理解が要求される。
わが国では、地域的特色の豊かな織物技術が各地で発達したのに伴い、地域的特色を備えた手機の製作技術も各地に伝承されてきたが、いずれも技術者の減少・高齢化が著しく、京都西陣でも手機の製作を継続する技術者は少数になっている。
手機製作は、無形・有形の文化財の保存に欠くことのできない技術であり、保存の措置を講ずる必要がある。