花輪貝塚は千葉県中央部に位置し、都川北岸の標高約30mの舌状台地上に立地する。貝塚の存在は古くから知られていたが、平成15年度の千葉市教育委員会による確認調査の結果、全容が明らかとなった。
貝塚は直径約120mの環状を呈する。現状でも貝塚に囲まれた台地の中央がややくぼみ、縁辺部が高くなっており、環状に貝塚が形成されている状況が確認できるほど遺存状態は良好である。貝塚の形成は縄文時代後期前半にほぼ限定される。貝ではイボキサゴが圧倒的に多く、次いでハマグリ、アサリ、シオフキも多いが、汽水産のヤマトシジミが少ない特徴がある。台地縁辺から斜面部にかけて貝塚と同時期の竪穴住居が29棟確認され、中央広場を取り巻くように環状に分布する環状集落と考えられる。
本貝塚は縄文時代後期前半の残存状況がきわめて良好な、大規模な環状貝塚であり、当該地域の自然環境や生業のあり方を知る上で重要である。また、後期前半で廃絶した点も大きな特徴であり、当時の集落及び社会のあり方を知る上でも重要である。