13代鍋島直泰夫人紀久子の雛人形は明治44年の誕生以降、大正時代の初めにかけて揃えられた。いずれも京都の老舗人形店、丸平大木人形店の作。丸平大木人形店は安永年間の創業で、近代以降は皇室関係の御用を受けている。有職雛とは実際の公家の装束を忠実に写したもので、江戸時代中期以降、上層階級が人形師に特注で作らせた。おもに公家社会や大名家で飾られ、近代以降も上層階級に好まれた。この有職雛は、品格の高い相貌をしており、男雛は黒袍に紫袴の束帯姿、女雛が白地小袖に緋袴、紅地袿をつけた袿袴姿。女雛の袿にある向かい鸚鵡紋は皇后のみが身に付ける模様である。