旧大社駅本屋は,出雲大社参詣の表玄関として,大正13年2月に完成した。木造,平屋建で,西面して建つ。正面中央に車寄を突出した中央棟を中心に,両翼を延ばした南北に細長い左右対称の構成とする。
全体に和風の意匠でまとめられた特徴ある建築で,変化に富んだ屋根を戴き,軸部と漆喰壁や窓が織りなす対比により,左右対称の厳格な構成の中にも華やかな外観を構成している。
優れた意匠の木造和風鉄道駅舎として我が国を代表する建築であるとともに,廃線後も旧地にほぼ建築当初の姿のまま良好に保存され,鉄道興隆期の地方駅舎の姿をよくとどめている点も重要である。