西芳寺ハ天平三年行基ノ開基ナリト傳フ延元四年中興ノ開山夢想國師ノ住持トナルヤ堂宇ヲ再興シ林泉ノ築造ニ力ム乃チ方丈前黄金池ヲ繞リテ園ヲ造リ以テ向上關ノ小門ニヨリテ岡阜ノ傾地洪隱山ニ連リ其處ニ曲路ヲ設ケ或ハ洞窟ヲ穿チ或ハ亭庵ヲ建テ勝地ニ黄金池十境及洪隱山十境ノ名ヲ附ス爾來幾星霜屡々兵火ノ亂洪水ノ厄ニ遭ヒ修補ヲ加フルコト數囘隨ツテ當時ノ状貎ヲ改變セラレタリト雖モ黄金池洪隱山ハ今仍ホ當時ノ俤ヲ存シ林叢泉石ノ風致ト其ノ間ニ配置セル亭庵ノ雅趣トハ人々ヲシテ坐ロニ往時ヲ偲ハシメ本邦著名ノ古園タルヲ思ハシム
池畔ノ茶室湘南亭ハ特別保護建造物タリ
建元年中夢窓国師が修築したものと伝えられる。上部洪隠山に指東庵の岩組を残し、下部に黄金池を中心とした林泉が設けられてある。旧態よく保存せられ。景観特に優秀であり、苔の成育よく古くから苔寺の通称をもって広く知られている。