奈良三彩壺 ならさんさいつぼ

工芸品 陶磁 / 奈良

  • 福岡県
  • 奈良
  • 素地はやや黄色を帯びた灰白色陶胎、扁平な球形を呈する壺で、鉛釉陶器の中では比較的硬質に焼け締まる。成形は粘土紐造り轆轤成形で器表全体を篦磨きする。胴部はなだらかな肩が張ったを有する扁平な球形で、口頸部は広くわずかに内にすぼまり短く立ち上がり、口縁端部を平らに仕上げる。裾はややすぼまり、底には裾広がりの外に開く幅が狭い高台をつける。
     篦磨きした器表全体に白泥を刷毛で化粧掛けし、表には全面に低火度釉の三彩を施し、外面底部と内面には淡緑色を帯びた透明釉を掛ける。三彩釉は光沢があり、白釉(透明釉)緑釉を基調として緑釉白釉(透明釉)と褐釉を交え、ともに点々と配する。
     底の高台際の三方に小さな目跡が残る。
     底に貫入があり、高台の一部を繕う。
  • 高13.7㎝ 口径12.7㎝胴径21.5㎝ 高台径13.5㎝
  • 1口
  • 九州国立博物館 福岡県太宰府市石坂4-7-2
  • 重文指定年月日:20100629
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 独立行政法人国立文化財機構
  • 国宝・重要文化財(美術品)

本作品は、日本で製作された奈良三彩壺である。器表全体に唐三彩に見られる白泥を化粧掛けし、表には三彩釉をかけ、底と内には緑色を帯びた透明釉がかかっている。三彩釉はかせがなく艶やかで、白釉(透明釉)を基調として緑釉と褐釉を交え、鹿子状に施している。肩が張る扁平な胴部や裾広がりの高台から奈良時代前半の作と考えられる。唐三彩と共通する白泥の化粧掛技法は奈良三彩の成立を考える上で極めて重要な資料であり、遺例が少ない奈良三彩壺の完存する作品として貴重である。

奈良三彩壺

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