これは雨宮坐日吉神社の祭の折の行列一行の芸能で、地元では御神事と通称され、踊り一行のうちの獅子踊が特徴を見せるところから雨宮の獅子踊ともいわれる。
行列は、先頭に御行事【おんぎようじ】(天狗面をつけ高足駄をはく主宰神。)、次いで社宮神【しやぐじん】、左大臣、相丞神【そうじようじん】その他の末社の神六神(いずれも鬼面をつける)、さらに御鍬(作神ともいわれ、鍬を持つ)、中踊(五、六才の子供が女装し、花笠をかぶる)、児踊【ちごおどり】(花笠をかぶり、胸に小太鼓をつける)、獅子(四頭、四角の箱様の台に白紙の垂れを多数付着した珍しい形の頭)、太鼓、囃子方の一行で構成される。
一行は町太鼓の触れを合図に神社鳥居前に集合した後、神社に練り込み、社前で各役思い思いの所作の踊りを奉納する。その後、若宮様、地蔵様、田屋の辻その他村内各所を巡り踊る。宵闇せまる頃村外れの唐崎神社へ最後の練り込みをするが、神社手前の川にかかる斎場橋で「橋がかり」と称する獅子の奇抜な次第を行う。若者が獅子頭を持ち、橋から逆さに吊されて川面すれすれに獅子頭を振り動かす。
この祭は、かつて当地に居た種津【たねつ】殿という者の妻が妾に嫉妬するあまり悶死し、崇りをなしたので、それを鎮めるために始めたとの言い伝えがあることから厄神鎮送の祭と考えられている。また踊は多分に田楽の要素を持つものである。群行芸の一種として地方的特色の顕著なものである。