金銅三鈷杵 こんどうさんこしょ

工芸品

  • 鎌倉時代 13~14世紀
  • 銅製 鋳造 鍍金
  • 長16.8 把長6.0 脇鈷巾4.9~5.0
  • 1口

 厚みがあり、端正で破綻のない姿の三鈷杵(さんこしょ)である。鬼目(きもく)は横長楕円形で二重の輪郭を持ち、高くはないが突起を作っている。蓮弁帯は間弁付きの八葉弁で、輪郭を二重として弁の中央に稜線を表し、二線の素文の約条で締めている。脇鈷(わきこ)は根元近くから先端にかけ全体的に緩やかな弧を描いている。脇鈷の稜線に沿って樋(ひ)を表し、嘴形(くちばしがた)に唇を思わせる横筋を一本刻んでいる。穏やかで大人しい造形であるが、鈷(こ)には張りが感じられ、全体の形もバランス良くまとめられている。また、厚みのある点は古式な形式を伝えていると考えられ、このような特徴から鎌倉時代の製作と推定することができる。

古玩逍遥 服部和彦氏寄贈 仏教工芸. 奈良国立博物館, 2007, p.36, no.18.

金銅三鈷杵 こんどうさんこしょ
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