春日山蒔絵硯箱 かすがやままきえすずりばこ

工芸品 漆工 / 室町

  • 日本
  • 室町時代
  • 木胎漆塗
  • 高4.9㎝ 奥行23.9㎝ 幅20.1㎝
  • 一合
  • 東京都港区南青山6-5-40
  • 根津美術館
  • 重要文化財

足利義政遺愛の硯箱のひとつとして名高い作品である。被蓋造(かぶせぶたづく)りの硯箱を梨子地(なしじ)とし、蓋表に女郎花(おみなえし)や桔梗(ききょう)、薄、菝葜(さるとりいばら)が生い茂り、三頭の鹿が佇む秋の野が満月に皓々(こうこう)と照らし出されている様を金研出(きんとぎだし)蒔絵と高蒔絵であらわしている。蓋裏には山中の茅屋(ぼうおく)で鹿の声に耳を傾けているかのような男が描かれている。文様の中に「盤(は)」「こ・と・尓(に)」「け」「連(れ)」の文字が葦手(あしで)の手法であらわされ、『古今和歌集(こきんわかしゅう)』巻4、壬生(みぶの)忠岑(ただみね)の歌「山里は秋こそことにわひしけれ 鹿の鳴く音に目をさましつつ」を暗示している。高度な文学的趣向を凝らした作品である。

春日山蒔絵硯箱 かすがやままきえすずりばこ

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