明治11年(1878)洋行から帰国した11代鍋島直大は、翌年ドイツ・イタリア皇族や前アメリカ大統領の接判掛を命じられ、8月には外務省御用掛となる。そして、13年3月8日特命全権公使・駐伊在勤の辞令を受ける。7月9日、外務書記官の百武兼行らを伴い横浜を出港した。公使時代のローマで撮影した大礼服姿の直大。裏面には「My best compliments to Prince Jionii Gasuno / 27th Jun 2541 of year / From Jansarnmi Nawohiro Nabeshima」「鍋島直大」の署名がある。2541年(西暦1881)6月27日は明治14年に当たる。百武兼行が精魂込めた油彩の鍋島直大像もこの大礼服姿である。服装一式も今に残る。