荻江節 おぎえぶし

伝統芸能 音楽

  • 選定年月日:19550619
  • 記録作成等の措置を講ずべき無形文化財

 荻江節は三味線音楽の歌いものの一つで、十八世紀後半に、もと市村座の長唄唄方として立唄をつとめた初世荻江露友【ろゆう】が、劇場引退後に長唄をお座敷唄風に歌い始めて独特のものとし、その後に引き継がれ、幕末になって地唄の曲を取り入れ、また新曲を加えて、さらに独自性を高め今日に至っている。
 荻江節は長唄をもとに生まれたが、長唄が劇場の伴奏音楽として派手で、その三味線は舞踊を助けるために器楽的に活躍し、また長唄の本格的な演奏は笛や鼓、太鼓の囃子を伴うのに対し、荻江節は控え目で、三味線も複雑な技巧を避けて唄の伴奏役という地位を守り、荻江節では囃子を用いないのが原則というように、荻江節はお座敷唄として工夫され洗練されたところが特色である。なお大正以降、一中節、河東節、宮薗節と合わせて古曲と呼ばれ、ともに、その保存・伝承がはかられてきた。
 荻江節は、わが国の芸能史上重要な地位を占めるとともに、日本音楽の中で芸術上高度な価値を有する。

荻江節

ページトップへ