白菊、野紺菊などの野菊を中心として、その周辺に桔梗(ききょう)、女郎花(おみなえし)、芒(すすき)など秋の草花が、さらには蒲公英(たんぽぽ)、野茨、南天、藪柑子(やぶこうじ)といった春や冬の植物も見えている。四季の草花を、繊細に写実的に描写しながら、それらを画面の左右に広がりをもって散りばめ配した装飾的な 風である。作者は琳派の創始者、俵屋宗達の弟子とも子とも伝えられる俵屋宗雪と考えられる。琳派の画家は、それまで絵画の脇役的な存在だった名もない野の草花を、絵画の主題として扱い、見事に装飾化している。