観音平・天神堂古墳群.txt: 頸城平野の西縁の奥地新井市は、西に妙高火山麓が裾野として広くひろがり、東は頸城平野の一画を占めている。この妙高山麓の裾野には著名な史跡斐太遺跡があり、その北、南に接して観音平・天神堂古墳群の大古墳群がみられる。
観音平古墳群は、斐太遺跡の北に接する丘陵に所在する。この古墳群のうち、青田の集落の背後の青田支群は、14基の円墳からなり、この青田支群の南、県道をへだてた観音平支群には、方墳1基、円墳37基、計38基が集中して存在する。この古墳群は、規模の大きい諸墳は台地縁辺に、小規模な古墳はその脇や奥まった位置に占地している事実が明確にみられるほか、38基中20基に幅2~3メートル前後の溝をめぐらしている事実があげられる。
天神堂古墳群は、斐太遺跡の所在する丘陵の南方約400メートルの丘陵上に位置する。現在、方墳2基、円墳105基、計107基が確認されており、過去に消滅したことの明らかな11基を加えれば本来は118基が存在したものと考えられる。これらの古墳は、3群に分かれ、1群は台地先端部(東縁)にほぼ南北に分布している円墳27基、第2群は尾根上に一列に連らなる22基と孤立する2基を含む24基からなり、うちに2基の方墳を含んでいる。第3群は、台地の北側縁に東西に群集し、67基の円墳からなっている。これら天神堂古墳群107基のうち、幅2メートル前後の溝をめぐらすものが72基みられる。
本古墳群は、ほとんど発掘調査が行なわれておらず、埋葬施設などは明確ではない。横穴式石室や竪穴式石室が若干確かめられているので古墳時代中期末から後期にわたり営造されたものと思われ、古墳群の形成過程を知りうる点でも、また北陸地方の極めて顕著、大規模な古墳群として価値の高いものである。