平尾台は、長軸約6km、短軸約2km、その周辺を40度内外の急斜面によって囲まれた比高300〜500mの盆状台地である。地形上台地は平尾部落を中心に、裸出カルストである北東部と草原により被われたカルストである南西部とに二分される。
指定地域はこの北東部であって粗粒の結晶質石灰岩の標式的な裸出カルストである。なかんずく
(1)羊群原を中心とする一帶のカルレンフェルト
(2)篝火盆地から平尾部落にわたるドリーネ(石灰鉢)、ウバーレ(石灰盆)、ポリエ(石灰平)、ポノール(吸込孔)、カルスト噴泉
(3)台地南東山腹の石灰洞と瀑布性湧泉
(4)台地南部の三笠台を中心とするコツクピツト群
(5)台地北部の石灰岩と花崗岩との接触部に於ける陥没性大ドリーネとカルスト崖
等は特に著るしく、全地域にカルスト諸原素が集約分布して此の種地形の輪廻を最もよく表わしている。即ち我が国有数の孤立高原カルストであると共に特色ある景観をも兼ね備え、学術上の価値が甚だ高い。
備考
1.農耕地としての作業(野焼・採草・放牧・耕作等)は地形の変化を来すもののほか制限しない。
2.台面及びドリーネその他の凹陥部自然樹叢の伐採及び植林は禁止する。
3.道路の敷設、建造物その他の営造物の構築は原則として公共の目的のためやむを得ないと認められるものの外は禁止する。
4.地形地貭構造を破壊汚損する鉱物・鉱石の採取は一般に禁止する。