萩ノ尾と称せられる地域にあり、丘陵上の円墳で、基底径約21メートル、高さ約5メートルを有する。西に面して横穴式石室が存する。石室は羨道と玄室とにわかれ、玄室は前室と後室とより成っている。石室は、各室とも壁面の下部に巨大な切石を配し、上部に割石を積みあげる構築を示し、天井をかなり高くしている。後室は、床面の幅約2.67メートル、長さ約2.90メートルで、ほぼ方形の平面を示し、高さ約3メートルを有する。奥壁に石棚を設け、その下方にあたる壁面には、赤色顔料をもって、舟、楯、円文等の図様が画かれている。前室はやや小さく、床面の幅約1.66メートル、長さ約1.84メートル、高さ約2.66メートルを有する。この古墳は、墳丘は通有の円墳に過ぎないが、石室の構築に見るべきものがあり、殊に、壁面に單一の色彩による絵画がほどこされ、いわゆる装飾古墳の一例を示すものであり、学術上高い価値をもつものである。