絵画 / 元
本図には「毘陵【びりよう】」と「呂敬甫氏【ろけいほし】」の印章二顆があり、これによって本図が江蘇省の常州(毘陵)の出身で草虫画を善くした呂敬甫の作と知れる。常州草虫画は、江南の地方様式として特殊な装飾的様式を表わし、近世において惲南田【うんなんでん】画風にあるいはまたわが国の近世絵画にも影響を与えており、その歴史的意義は小さくない。 本図は草花を中心に虫類等を画面全体に散らして配し、豊かに彩色する構図と描写には常州草虫画の典型が示され、遺品の少ない呂敬甫の作品のうち優作にあげられる。
瓜虫図
呂敬甫
草虫図
呂敬甫筆
絹本著色草虫図