聖霊会は聖徳太子の御忌にあたってその聖霊をまつる法会であり、四月二十二日に執行される。この法会は王朝時代の舞楽法要の姿を伝えているもので、古式豊かな舞楽が六時堂前の石舞台の上で舞われる。四隅に巨大な赤紙花の曼珠沙華を飾るのも独特な景観であるが、惣礼伽陀【そうらいかだ】、四箇法要【しかほうよう】の法会儀式に織りこまれた舞楽も、「振鉾【えんぷ】」「蘇利古【そりこ】」「菩薩【ぼさつ】」「獅子」「迦陵頻【かりょうびん】」「胡蝶」など数多くの曲が演じられる。
四天王寺(大阪市天王寺区元町)は、三方楽所の一つに数えられてきた由緒ある舞楽の伝承を持っており、明治初年に楽所を一つにして宮内庁楽部にした後も、その伝統を伝え残して現在に至っている。その伝承の中には、四天王寺独特の演技、演奏法のあるものもあり、舞楽史の上で極めて特殊な地位を占めている。