白磁は、陶石【とうせき】や磁土【じど】を主原料として成形し、その上に長石【ちようせき】・石灰【せつかい】等に木灰【きばい】を調合した透明釉をかけて焼成する陶芸技法であり、その白の発色は素地の白さに負うところが大きい。胎土【たいど】の調合、轆轤【ろくろ】または型打ちによる素地の成形・仕上げの後、素焼き、釉掛け、本焼き等の工程を経て制作され、彫文様などの素地装飾や、緑釉【りよくゆう】等が併用されることもある。
技法は中国の南北朝後期に始まるといわれ、唐時代に発達し、北宋時代の定窯【ていよう】では淡いクリーム色がかった白磁胎に流麗な彫文様などを施した白磁が焼成され、朝鮮の高麗・李朝時代にも多くの優品が制作されている。一方、わが国では、近世初期の初期伊万里以来、格調の高い白磁が各地で焼成され、その伝統技法が現代に伝えられている。
白磁は、磁器の基本的技術として工芸史上重要であるとともに、芸術的にも価値の高い伝統的な陶芸技法として評価されるものである。