桑製、透漆塗の煙草盆で、三つの抽斗を設け、背面には菊花に鶴を透かし彫りし、持手や四隅に銀製唐草模様金具をつける。火入れと灰吹きは磁製で菊御紋と小葵模様に鳳凰を染付で表す。一双の煙管には菊花に鶴を表し、灰ならしにも菊御紋を散らす。ほかに銀製火箸、木製塵取、羽箒が備わる。箱書きにより、明治天皇が女官であり宮中の御用掛を務めた北島以登子に下賜されたものを、何からの御祝いの節に11代鍋島直大夫人栄子に献上したものであることが分かる。北島以登子は明治14年(1881)の直大・栄子夫妻の渡欧の際に同行している。