対馬宗家関係資料 つしまそうけかんけいしりょう

歴史資料/書跡・典籍/古文書 / 室町 安土・桃山 江戸 明治

  • 福岡県
  • 室町~明治
  • 14033点
  • 九州国立博物館 福岡県太宰府市石坂4-7-2
  • 重文指定年月日:20050609
    国宝指定年月日:
    登録年月日:
  • 独立行政法人国立文化財機構
  • 国宝・重要文化財(美術品)

対馬宗家は中世以来朝鮮国との外交・貿易で中心的役割を果たし、江戸時代徳川政権下では朝鮮国との通交の窓口を独占した。宗家に伝来した総数一万四〇〇〇点にものぼるこの資料群は、わが国と朝鮮国との外交・貿易の実態を示し、対外関係史上に貴重なものである。
 とりわけ朝鮮国が日本からの渡航者に通交の証として与えた銅印(図書【としょ】という)二三点や「為政以徳」と彫られた朝鮮国王の偽造印の存在は注目される。図書の中には本来宗家の名義ではないものもあり、そうした印章が宗家に伝わったこと自体が対馬宗家に朝鮮通交権が集中していったことを示す。また、「為政以徳」の偽造印は万暦十八年(一五八〇)に朝鮮国王から豊臣秀吉に宛てて出された国書(宮内庁書陵部蔵)の印影と一致することから、宗家による国書書き替えの事実を裏付ける資料といえる。日本と朝鮮国との間に立ち、外交交渉に苦慮する宗家の歴史的に特殊な立場を象徴する。
 さらに宗家には大内氏の割符である「通信符」の偽造印や真印すら未確認である足利将軍の「徳有隣」と彫られた模造印等もあわせて伝わっている。宗家がこれらの印章の持ち主を偽って使者を派遣していた事実が浮かび上がってくる。
 また、朝鮮国の外交・貿易関係の機関からもたらされた外交文書(書契【しょけい】)をはじめ、幕府との交渉を伝える一万二〇〇〇点にものぼる老中奉書には、朝鮮通信使への応対や漂流民の送還等、朝鮮国との外交関係の内容を多く含んでいる。質量ともに特筆すべきまとまりをもっている。
 さらに、器物類が若干残されているが、中でも「人形【ひとがた】」の朝鮮人参は宗家の貿易活動を象徴する。朝鮮人参は朝鮮からの重要な輸入品目の一つであり、江戸時代対馬藩により専売されていた。人の形をした人参は現在でも珍しいが、当時これが見出されると重臣から差し出され、現在まで大切に伝えられた。対馬府内の様子を今に伝える対馬府内図屏風などとともに当該資料群を代表する資料といえる。
 対馬宗家関係資料はわが国と朝鮮国との友好的な貿易・外交関係を示す資料群としても注目されよう。

対馬宗家関係資料

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