柿右衛門(濁手) かきえもん(にごしで)

工芸技術 陶芸

  • 指定年月日:19710423
  • 重要無形文化財

江戸時代初期の寛永末から正保の初めごろ、肥前有田の陶工初代酒井田柿右衛門は、わが国で初めて磁器の上絵付に成功したと伝えられる。色絵磁器の創始はわが国陶磁史上画期的な出来事であった。その後さらに、初代柿右衛門の晩年ごろ、いわゆる濁手と呼ばれる乳白色の素地が造られるようになり、これに瀟洒な上絵付を施した独特の柿右衛門様式が、元禄ごろにかけて完成された。濁手は江戸後期以後衰退し、現代になって十二代・十三代柿右衛門父子により復興され、今回の指定の対象となったものである。
 現在行なわれている濁手素地は、柿右衛門家伝来の元禄三年土合帳【つちあわせ】に準じ、泉山陶石、白川山土、岩谷川内石を配合して調製される。上絵具も同じく、元禄三年絵具合覚【えのぐあわせおぼえ】に準じ、赤・萌黄・群青・キビ・紫・黒・その他の絵具を自家調製したものであり、ことに赤絵具の調製に独自の伝統をもち、その簡素淡調な上絵付は濁手素地との調和が配慮されている。

柿右衛門(濁手)

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