淡彩墨画による羅漢図二幅で、本来十六羅漢図、ないしは十八羅漢図からの端本である。第十尊者半(はん)託(だ)(迦(か))尊者と第十一尊者[囉(ら)]怙(こ)羅(ら)尊者で、尊者名の記入も十分ではない。
「羅漢図」は、水墨によって写実的な羅漢像を描き、南宋から元時代に制作された複数の系統に属する祖本の中でも一応南宋金大受(きんたいじゅ)筆とされる十六羅漢図の系譜が最も近いが、全く同一の図像は見いだせない。画絹は稠密で、筆墨も重厚な表現であるが、文様や衣文線は細かく、粘りのある運筆である。
本来浄土真宗寺院には必要のない仏画であり、西光寺での経歴も不明であるが、制作年代は鎌倉時代末南北朝時代、あるいは寧波系元時代の水墨羅漢図の二幅として注目に値する。