筆彩素描集『蝶と貝殻』 ひっさいそびょうしゅう ちょうとかいがら

版画 / 昭和以降

  • 三岸好太郎 (1903-1934)
  • みぎし こうたろう
  • 昭和9年/1934
  • 印刷(凸版墨刷)・手彩色(水彩、グワッシュ)・紙
  • 縦30.2×横22.8cm  スプリング製本  限定番号第0065番
  • 装丁:三岸好太郎  全15葉(画10点、表紙、中表紙、扉、序文、裏表紙) 

筆彩素描集『蝶と貝殻』
Portfolio "Le Papillon et la Coquille"
1934
北海道立三岸好太郎美術館蔵[P-10]

三岸好太郎は1934年、蝶と貝殻をモティーフとした自らの素描作品10点を凸版墨刷とし手彩色を加えた画集を、100部限定、予約注文制で刊行した。友人の建築家・山脇巌に設計を依頼したアトリエ建築のための資金調達も兼ねていた。
収録作品は「蛾」「旅愁」「ヴィーナスと蝶」「貝殻」「雲の上の蛾」「海洋を渡る蝶」「海と射光」「ヒマラヤ杉と蝶」「蝶と蛾」「花と蝶」の計10点。同年に発表した自作の詩「蝶ト貝殻(視覚詩)」にあらわされた視覚的イメージや、一連の同テーマの油彩画とも関連している。他に深紅の表紙や銀色の中表紙にもタイトル文字とともに貝殻と蝶と蛾が白抜きで配されている。また、刊行に協力した美術評論家・外山卯三郎が序文を寄せ、発行は外山が関わった芸術学研究会となっている。
装丁や製本には三岸の好みを反映し、当時としては斬新なスプリング綴を採用している。表紙には金属板を使う意向もあったという。彩色は三岸自身と節子夫人の手により一点一点ほどこされたもので、同じ絵柄でも画集ごとに調子が微妙に異なっており、その異同も興味深い。また各作品の配列順にも違いがある。
三岸好太郎美術館に所蔵されるのは限定番号第0065番の1冊のほか、製本がはずされて限定番号不明の3葉がある。

筆彩素描集『蝶と貝殻』 ひっさいそびょうしゅう ちょうとかいがら

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