建造物 宗教建築 / 明治 大正 安土・桃山 江戸 室町 昭和以降
髙祖神社は糸島市の東端、高祖山西方の山麓に位置し、平成24年3月に本殿・拝殿が福岡県指定有形文化財(建造物)となった。指定後、平成25年から平成29年にかけて本殿の保存修理工事と共に棟札等の調査が実施され、本殿の建立年代や改修年代が再検討された。その結果、本殿は天文10年(1541)に建立され、元亀3年(1572)・寛文2年(1662)に改修され、現在の社殿の形に変更されたことが明らかとなった。
『筑前町村書上帳』(青柳種信著、文化11年(1814))に髙祖神社本殿の棟札3枚の写が記載されており、永正4年(1507)に原田興種、天文10年(1541)に原田隆種、元亀3年(1572)に原田親種が社殿を造営したことが伝わる。今回の修理工事の際に髙祖神社社務所において、これら『筑前町村書上帳』所収の棟札である天文10年・元亀3年の棟札を含んだ計5枚の棟札(天文10年、元亀3年、寛文2年(1662)、安永6年(1777)、文政5年(1822))が新たに確認された。
本件は、寄進者や大工などの髙祖神社の造営に関与した人物の名前や造営年代、工事内容などが記されており、中世から現代に至るまでの髙祖神社の造営の歴史を証明する貴重な棟札群である。新たに確認された棟札5枚の内、天文10年、元亀3年、寛文2年の3枚は、現在の本殿の建立年代と主な改築年代と符合しており、建築遺構と棟札が共に現存する県内で最も古い事例であることを示す。
既に指定されている社殿や棟札と共に文化財として一体的な保護措置を図るため、有形文化財(建造物)の附指定として追加するものである。