狂歌とは、和歌の形式の中に半古典的な機知や欲情を読み込む文芸である。平安時代から作られていたが、豊臣秀吉が滑稽を好んで刺激となり上流階級で広まり、江戸時代に入ってから大衆にも親しまれるようになった。この書籍は、狂言師が広重に狂歌とそれに関係した挿絵を書かせたものである。この作品は、江戸時代の各職人(武士、奥女中、法師、比丘尼、占者、色子)が狂歌を「番匠」「機織」「鳶ノ者」「遣手」「飛脚」「飯盛」の各題目により詠み、それを収録したものである。その中でも、当時の飛脚について大阪の武士~色子の6人の各職業の人達から見た個々の職業について、挿絵入りで服装等も詳細に描かれているため、大変興味ある作品と言える。特に、飛脚について社会風刺的和歌として詠んでいる事から、違った観点からの飛脚資料となることから重要である。また、大阪で挿絵を描き、出版をしているため、江戸と大阪の風俗や考え方の違い等も調査研究する上で、興味ある格好の資料と言える。