61 丸木位里(1901−1995) 臥龍梅 1961年
広島県生まれ。田中頼璋に学ぶ。1936年青龍社展初入選。38年岩橋英遠らと歴程美術協会を結成、墨を大胆に用いた作品を発表する。39年美術文化協会に参加。46年前衛美術会結成に参加。50年第3回日本アンデパンダン展に、妻である丸木俊との合作《原爆の図》第一部を発表、以後ライフワークとなる。67年原爆の図・丸木美術館開館。
夫婦合作の連作《原爆の図》がクローズアップされることが多い丸木位里であるが、その社会的メッセージ性もさることながら、水墨画という伝統的な表現の枠を大胆に突き破る実験精神にも目を向けたい。戦前からすでにラクダ、牛、馬などの動物を、大量に流した墨の中にうごめくように描いていた彼だが、戦後のこの《臥龍梅》では、臥せる龍のように屈曲した梅の枝ぶりを、たらし込みなどの手法を用いて奔放に表現し、見る者を圧倒する。第6回日本国際美術展に出品され、優秀賞を受賞した。