布田川断層帯 ふたがわだんそうたい

天然記念物 地質鉱物

  • 熊本県
  • 熊本県上益城郡益城町
  • 指定年月日:20180213
    管理団体名:
  • 史跡名勝天然記念物

「布田川断層帯」は,最大震度7,マグニチュード7.3を観測した平成28年熊本地震の震源断層である。断層の変位によって,熊本県内各所に亀裂や段差などの地表地震断層が観察された。熊本県益城町は,地震直後から変位が顕著に観察可能な場所であること,生活復旧への影響が最小限であることなどを条件として地表地震断層の保存の検討を開始し,杉堂(すぎどう)地区,堂園(どうぞの)地区,谷川(たにごう)地区の3か所について文化財として保存する方針を示した。その後,専門家の指導のもと町民と行政による保護活動が行われ,断層に沿って生じる湧水地も含めて保存が進められた。
布田川断層帯の地表地震断層は,熊本県嘉島町から益城町,西原村にかけてほぼ連続的に長さ約31kmで露出した。益城町杉堂地区や堂園地区をはじめ多くの地点で,北東―南西の方位に延びる右横ずれを示した。その最大変位約2.5mは堂園地区で記録されており,田畑と畦道の屈曲から確認できる。一方で,益城町谷川地区などでは,卓越する右横ずれ断層と斜交し北西―南東の方位に延びる左横ずれ断層が確認された。
これらの断層は,平成28年熊本地震で生じた多様な断層の運動と連続性を現わしており,学術上価値が高く,地震の被害を将来に伝える災害遺構としても貴重である。

布田川断層帯

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