黒糸威横矧二枚胴具足
くろいとおどしよこはぎにまいどうぐそく
考古資料 土器・土製品類 / 安土・桃山
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不詳
- 長崎県
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安土桃山時代
- 細川忠興(1563~1645)が関ヶ原合戦の際に着用したと伝えられる甲冑で、兜、胴、佩盾、籠手、臑当、頬当を完備した当世具足である。この具足は、忠興が自身の実戦経験に基づき、従来の具足形式をもとに考案したとされる独自の形式で、忠興が隠居後に三斎と号したことから、一般に「三斎流具足」の名で呼ばれる。また、関ヶ原合戦の際に忠興がこの形式の具足を着て勝利を収めたとされる。細川家ではこの嘉例をもって、細川家ではこれを「御吉例御具足」と称し、歴代藩主や家臣の具足もこの形式を規範として制作された。
本具足の特徴は、装飾を極力省いた簡素な構造と、軽量かつ機能性に優れる点にある。兜は革製の頭形兜で、頂辺に山鳥の尾羽を掴指とした立物をたて、額を防御するための眉庇は大きく、先端で深く外反りとなる点が特色である。胴は前胴と後胴を左脇で連結し、右脇で開閉する二枚胴形式で、着脱が素早くできるという利点がある。胴の下に垂らし太ももを防御する草摺は七間に分かれ、裾の二段を緋ビロード包みとする。これは、馬の鞍に当たって音を立てるのを防止するため、忠興が考案した工夫と伝えられる。籠手は鉄の細い板を縦に並べて鎖でつないだ「篠籠手」、臑当は細長い鉄板を鎖でつないだ「篠臑当」で、立挙と家地を設けないのが三斎流の特徴である。これに大腿部から膝にかけてを防御する佩盾と、顎だけを覆う小形の頬当が附属する。
- 兜 形式 黒漆塗頭形兜(越中頭形) 𩊱 板札黒皺革包、黒蓑付威毛 黒糸毛引 忍緒 黒麻平紐 鍬形台 なし
立物 頭立角本、山鳥尾羽の頭立 浮張 藍麻、刺縫 法量 総高 18.3㎝ 前後 23.8㎝ 左右 18.2㎝
胴 形式 前立挙三段・後四段・長側五段胸板革、他鉄板札皺革包
小札 鉄板札皺革包 肩上 革皺革包 小鰭 亀甲(布欠失)
立襟 設けない 合当里 鉄角
法量 胴高 37.8㎝ 胴廻 103.0㎝
草摺 間数 七間、馬手は2枚を一つに綴じる 小札 伊予札、黒皺革包 段 六段、裾二段が赤ビロード包威毛 黒糸素懸威、揺糸の下に腰鎖九枚設ける
法量 長さ30.2㎝ 裾幅21.8㎝
籠手 形式 篠籠手 立挙 設けない 摘手甲 黒鉄 篠・鎖 小篠黒鉄、鎖つなぎ 家地 麻地藍染
法量 総長 72.0㎝ 手甲長9.3㎝
臑当 形式 篠臑当(越中臑当)
篠 九本鉄地、黒漆塗、鉸具摺茶革
家地 設けない
法量 高さ 24.5㎝
佩楯 形式 鉄篠 段・綴 三段、鉄綴家地 麻藍地、裏麻地縞文様法量 高さ 50.9㎝ 幅(片方)25.4㎝
面具 頬当 越中頬、鉄錆地打出、折釘、垂れ三段、鉄板札黒革包、黒糸素懸
法量 長さ 13.7㎝
- 1領
- 熊本県熊本市中央区二の丸2
- 熊本県指定
指定年月日:20190326
- 公益財団法人永青文庫
- 有形文化財(美術工芸品)
細川忠興が関ヶ原の合戦(1603年)の際に着用したと伝わる当世具足で忠興が考案したとされる「三斎流具足」である。また、関ヶ原合戦の際に忠興がこの形式の具足を着て勝利を収めた嘉例をもって、細川家ではこれを「御吉例御具足」と称し、歴代藩主や家臣の具足もこの形式を規範として制作された。