煙雲館庭園 えんうんかんていえん

名勝 庭園 / 平安 室町 鎌倉 南北朝

  • 宮城県
  • 江戸~近代
  • 宮城県気仙沼市
  • 指定年月日:20180213
    管理団体名:
  • 史跡名勝天然記念物

宮城県北東沿岸部,北上山地南部の三陸リアス式海岸が続く気仙沼湾西岸の丘陵部に立地し,東方には大島,南方には岩井崎の勝景を望む。この地は仙台藩上級家臣鮎貝(あゆかい)氏の旧居館であり,近代の文学者・落合(おちあい)直(なお)文(ぶみ)の生家としても知られる。庭園は仙台藩茶道頭,石州流(せきしゅうりゅう)清水派の二世動(どう)閑(かん)による寛文年間(1661-1673)の作庭に始まるものと伝えられる。敷地は丘陵の南向き中腹部を2段に造成して平場を成し,上段に主屋を構えて西向きに園池を地割の中心とした主庭を設け,西側丘陵地斜面から北側,東側にかけて背景林が取り囲む。主庭は,東西約30m,南北約20mの園池の西寄りに,北西-南東の長軸で約16mを測る円形の大きな中島を配して地割の要とする。現在の主屋は幕末期に再建されたものであるが,西側に奥座敷と表座敷,南側に中座敷と表座敷を向け,表座敷を観賞の首座として,地割と調和している。
江戸時代前期に端緒を発して近代に至るまで鮎貝氏の館に維持され,主庭の大きな築山(つきやま)を成す中島を備えた園池と背景林が成す幽邃(ゆうすい)と気仙沼湾への眺望が成す宏大を兼ね備えた庭園として優秀な事例である。

煙雲館庭園

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