市河米庵(いちかわべいあん)が収集した書画文房は千有余種にのぼると言います。本書は当時既に米庵の手元から離れていた旧蔵品をも含む自選のコレクション図録です。全10巻のうち7巻を書画に、残りを銅器、玉器、文房類(雑)にあて、書画は唐から清までの141件を収録します。
本書に付された米庵の自跋には、一品得るごとに必ず審(つまび)らかに伝説を記し、あるいは臨・摹して、これを鐫刻(せんこく)する、と記されています。各品に備わる縮図、あるいは識語や印章・落款などから、当時の舶載品とその鑑賞の一端を窺うことができます。(六人部氏執筆)(180626_t082)