1640年のブラジル赴任以降、バタヴィア、北京、インドと世界各地をめぐったヨハン・ニューホフ(1618-1672)のスケッチ入りの日記をまとめ、本人の没後に出版された旅行記。江戸時代の日本にも舶載されて石川大浪が入手、大槻玄沢の『蔫録』の大浪画の挿絵に用いたり、玄沢門下の地理学者で、大浪とも親しい関係にあった山村才助(1770−1807)がその内容を翻訳するなど、当時の蘭学者らにとって最も重要な世界地理情報源のひとつでした。大浪の死後、浮世絵師歌川国芳(1797−1861)の手に渡ったらしく、「忠臣蔵十一段目夜討之図」や「二十四孝童子鑑」など、国芳の洋風版画の原図としても利用されました。
【江戸時代の洋学】