画面右側にみえる和田神社の参道沿いの松並木や石灯籠、中央にみえる明治4年(1871)建築の和田岬灯台との位置関係から、和田岬砲台を北から南にのぞんだ写真であることがわかります。当館が所蔵する類例との比較から、恐らく明治5 年(1872)の撮影ではないかと思われます。土塁に注目すると、石堡塔から右よりの位置に内部への入り口となる切れ目もみえます。石堡塔と呼ばれる円柱形の石造砲塔には等間隔に11の砲眼が設けられており、360度全方位への砲撃が可能でした。このことは、和田岬砲台をはじめとする4台場が、海上からの攻撃だけでなく、陸上攻撃に対する備えも想定していたことをうかがわせます。
【開国・開港】