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ゴンベとカラス
Gombe and Crows
1966年
油彩、布、紙・麻布
200.0×130.0cm
左下に署名:KATSURA
1966年 第7回現代日本美術展(最優秀賞)
その初期において桂は、絵画の再現的な描写にあきたらず、身辺のささいな事物を蒐集し、それらを組みあわせ、構成した実験的な作品をつくっていた。そうした試みは、彼女自身がダダやシュルレアリスムの手法である「コラージュ」という言葉を知る以前からのものであり、まったく内発的な動機からつくられたものであった。このような事物への偏愛と同時に、また時代が戦争へと暗転していくなかで、人間、あるいは人間をとりまく状況への関心も深まり、やがて諷刺をこめて、人間を記号化した作品を描いていった。戦後の作品は、そうした傾向をさらに明確にしており、この作品や同時期の《よくばりばあさん》のように、コラージュ風に描いたり、あるいは実際に紙や布を貼った上に描くことで、虚実共在の質感をつよくきわだたせながら、一方でユーモアにみちた独特のフォルムによって、人間の欲望や行為のおろかさを諷刺した作品を制作した。