上江洲家は17世紀末以降に久米島の西半分にあたる具志川間切の地頭代を歴代務めた家である。本資料群は、同家伝来の一括資料で文書・記録類1589点、地図・絵図類31点、典籍類114点、書画類82点、器物類89点から構成される。
中心を占める文書・記録類は、琉球王府との関係を中心に同家の歴史を明らかにする家譜等がある。書画類は、久米島が清国との航路上の要衝にあったことから冊封使や琉球王国の使者が遺した書跡がまとまって伝来する。器物類は地頭代の功績を賞賛して王府から下賜された掛床が注目される。第二次世界大戦による被害のため、第二尚氏時代以来の家資料がまとまって伝存することは希有であるなか、本資料群は、琉球王国による離島支配のあり方、第二尚氏時代から昭和時代にいたる同家の家の経営や、生活文化などを伝え、政治経済史、文化史上に学術的価値が高い。