その他の美術 書
内題はないが、古今集第十二恋歌二の巻頭の和歌49首、132行分の残巻である。料紙は夾竹桃文様の雲母箔摺胡粉地カラ紙8枚を継いでいる。古今集の写本としては異同が多く奏覧本の系統ではない。文字の形がまる味をおびて書かれているのが特徴で、その余白のとり方、散らし書の連綿は見るべきものがある。古来、小野道風の筆蹟といわれ、その個性味あふれた書風は、料紙の美しさと相俟って「名物切第一の切なり」といわれ特に尊重愛好されてきた。本阿弥光悦が所持していたとの伝承から本阿弥切と呼ばれている。
古今和歌集断簡 本阿弥切「よのなかは」
伝小野道風筆
彩牋墨書古今集第十四断簡〈(本阿弥切)/(いつはりの)〉色紙墨書道済集断簡〈(紙撚切)/(まかきの)〉紙本墨書家集断簡〈(針切)/(わかために)〉
古今和歌集巻第廿(高野切本)