7月7日の「たなばた」(注:西小磯の七夕祭りは8月に行なわれる)は、子供の頃からもっとも親しまれてきた行事の一つである。古い時代に中国の思想や習俗をとり入れたものではあるが、日本に定着してから「みそぎ」という意味を強く持つ行事へと変化した。
西小磯の七夕祭りは、そうした古い伝統を今日に伝えているという意味で貴重である。東地区は男子のみ、西地区は男女ともに参加する。子ども達は頭のいる宿(現在は公共施設を使用)に集まって組を作る。そして短冊をつくり、思い思いの願いごとや、星の名前を書く。墨書きした短冊を笹竹につけると習字が上達すると言われてきた。
6日の朝、子供達は集落の神社やサイノ神などを回り、笹竹で祓(はら)い清める。その時に用いた笹竹で「竹神輿」をつくり、夕方近くなると集落内を練り歩く。翌、7日の朝、この「竹神輿」は、年長の男の子達が海岸へ運び、沖へ持っていって流す。もとは、この笹神輿の竹を用いて釣竿(つりざお)や漁具を作れば良い釣竿になるとされ、かつては漁民が競って沖へ出ていた。