奈良
沙弥尼(十戒を受けた未成年の女性出家者)、真證が一人で実叉難陀訳『大方広仏華厳経』全八十巻を書写したうちの一巻。本経には奥書が付されないが、同筆とみられる当館守屋コレクションの同巻第六十五には、「以天平勝宝六年十一月十日沙弥尼真證令繕奉写」の奥書がみえ、本経も平勝宝六年(七五四)頃の書写と考えられる。五月一日経のように官立の写経所で写経生によって書写されたものではなく、奈良時代の一女性の筆跡を伝えるものとして貴重であり、また味わい深い。
写経断簡・紺紙金字経「大方広仏華厳経 入法界品第三十四之十四」
大威徳陀羅尼経巻第十五(光明皇后御願経・五月一日経)
華厳経巻第二十五