加守田章二 1933-1983
灰釉鉦鉢(はいゆうどらばち)
陶器/轆轤
H.12.5, D.39.5cm 1966年
KAMODA Shoji
Bowl in shape of gong, ash glaze
pottery/wheeling
それほど大きくはないが堂々たる風格を持った鉢で、轆轤成形で制作されている。径と高さのバランスのよい形に、灰釉が適度に掛けられ、豊かな焼物の世界を現出している。
益子に工房をもっていた加守田は1967年新たな作風を求めて岩手県・遠野に新工房を築く。益子から遠野へ、この間に土や釉技が変わるが、最も大きく変化したのは技法が轆轤から手捻(てびねり)になったことである。それは直接自分の手で土をより強くコントロールしようとしたからである。しかし土は人間の意志では完全に制御できない独特の性質を持っている。67年以降加守田はこのことをいやというほど知らしめられるのである。
灰釉作品の時期、加守田は制作の目標を「新しい時代に手で作る伝統的な焼物」(65年)においていた。それが「私の作品は外見は陶器の形をしていますが中身は別のものです」(71年)というふうに変わっていくのである。この作品はこうした厳しく自己の表現を求めた芸術家の重要な道程を物語っているのである。
1933年 大阪府岸和田市生まれ
1956年 京都市立美術大学工芸科陶磁器専攻を卒業、在学中、富本憲吉に師事
1959年 益子で工房を作り作家活動をはじめる
1961年 日本伝統工芸展に初入選する(〜66年まで出品)
1967年 高村光太郎賞受賞