彫刻 その他

  • 高村光太郎  (1883-1956)
  • タカムラ、コウタロウ
  • 大正7年頃 / c.1918
  • ブロンズ・1
  • 38.6×14.5×28.7
  • 手首の前面に署名(刻銘)

127

Hand
1923(大正12)年
ブロンズ 高38㎝
bronze
腕、脚、トルソなど身体の部分を切断した彫刻作品はロダンに始まるといわれる。パリの市民たちはロダンのアトリエを訪れ、そのような制作途中の断片とも見られる作品群に接したのであろう。それらを抵抗なく受け入れる基盤は19世紀ごろから盛んになる古代遺物の発掘、つまりそこで出土する古代の彫像により培われたとされる。そして、身体という文脈をはずされて呈示される頭や腕は同時にオブジェの発生へも頁献することとなるのである。しかし、この高村光太郎の作品をそれらと同種と見ることはむずかしい。同じころ制作された〈腕〉〈ピアノを弾く手〉がロダン風の身体の断片であるのに対し、仏像の施無畏印相から着想を得たとされるこの作品は自立的に一つの表情をもち、見る者に語りかけてくる。木彫特有の““こなし””と呼ばれる細部完成のプロセスの塑像への応用を含め、この作品は精神的にも作者がこののち伝統的木彫へ回帰していくことを暗示しているといえるだろう。

手

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