宮殿は柱が大面取の角柱で、唐戸面のつく地覆上に立つ。柱足元には正側面に腰長押が二段まわされ、地覆と下段の腰長押間に横連子がつく。上段の腰長押と内法腰長押間には、正面に双折桟唐戸が吊れるが江戸時代のものである。頭貫は大仏様の木鼻をもち、各面とも中央長押上に柱形を付して二間にみせている。組物は三手先で中間柱形にも置き、中備は各蟇股とする。軒は二軒繁垂木だが、背面は引きがねがないために一軒として納めている。
妻は吹寄せの木連格子であるが、竪子の下部を前包の前面まで延ばす古式なものであす。
観福寺本堂内宮殿は、頭貫木鼻に大仏様の影響がみられるほかは純和様の構成になり、組物、蟇股をはじめ各所に鎌倉時代の特徴をよく留めて、年代の知られる基準作として価値が高い。