66
サルタンバンク
Streetperfomers
1926(大正15)年
油彩、麻布 114×72.5cm
oil on canvas
1928年 第15回二科会展
この絵は、南フランス滞在からパリにもどってのちシテ・ファルギエールで描かれたものである。画家自身が「この絵はピカソに引かれ、ピカソから逃れようと、日夜苦しんでいた頃の絵である」といっているように、キュビスム期から新古典主義期そしてシュルレアリスム風の時代と変わっていくころのピカソを思わせるところがある。つまりこの三つの傾向を一緒にしたようなところが認められるといってよい。形体把握はキュビスム的、様式化をともなった量塊表現は新古典的、そして雰囲気は超現実的ということである。また、ここに見られる様式化の傾向は、戦後の装飾的様式化へとつながっていくものであろう。この作品は帰国してはじめての二科展に滞欧作として特別展示した23点のうちの1点である。なおサルタンバンクとは大道芸人、旅芸人の意味である。