本願寺飛雲閣 一棟
現在本願寺境内の滴翠園の滄浪池に臨み北面して立つ。天正十四年から十五年(一五八九~九〇)の間に豊臣秀吉が経営した聚楽第中に建てられ、文禄四年(一五九五)同邸が壊されたのち、寛永年間(一六二四~四四)当地に移建されたものと伝わるが、詳らかでない。
閣は三階で一階は柳の間、八景の間、船入の間、茶座などからなり、柳の間は上下段の設けがある。二階は歌仙の間といい、周囲に緑をめぐらし、三階(摘星楼)は周囲に花頭窓を開く。各階の屋根の形は変化に富み、すべて木割が繊細で形態はすこぶる軽快奇抜、庭園建築の好典型である。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)